Columnコラム

脂漏性皮膚炎のお話

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  • 自然治癒が難しい、脂漏性皮膚炎のお話。

    脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が多い場所(鼻の周辺や頭皮など)を中心に起こる皮膚起こして炎です。発症すると炎症を地肌が赤くなり、皮膚が荒れてかさつき、細かく剥がれ落ち、白色・黄色・灰色のフケのようなもの(鱗屑)が皮膚に付着します。かゆみがありますが、ない場合もあります。症状が出やすいのは鼻の周辺と頭皮ですがその他に、首の周辺や胸、背中また、わきの下や股など毛の生える脂漏部位に見られます。

    脂漏性皮膚炎には、ほかの皮膚炎とは異なる大きな特徴があります。それはマラセチアというカビの一種(真菌)が原因だという点です。顔や頭皮にカビがいるというと、驚く方も多いでしょう。
    しかし、このマラセチア菌はだれの皮膚にもいる常在菌ですので(※1)健常人であっても発症する皮膚疾患でありまた他人に移ることはありません。ふだんは無害であるマラセチア菌ですが、皮脂の分泌状況やPH、湿潤環境など様々な環境因子がマラセチア菌にとって好条件になった時に発症し、皮膚から分泌される皮脂により急激に増殖し、炎症をおこすと考えられています。

  • 常在菌の増殖が原因。抗真菌薬で早めの治療を。

    脂漏性皮膚炎の初期の症状が、軽い炎症による赤らみやかゆみ程度でほかの皮膚炎(アレルギー性皮膚炎や刺激性皮膚炎または頭皮湿疹)と似ているため、ほとんどの方が市販の軟膏などで対処しようとします。そうした方法でも、一時的には症状が軽減されることもありますが、マラセチア菌の増殖がおさまらないとすぐに再発しかねません。きちんと治療しないと慢性化したり、再発したりしやすいので、軽度の症状であっても、炎症をくり返す場合は早めに医療機関に受診するなど、適切な対策をとることが大切です。

    脂漏性皮膚炎の治療にはマラセチア菌の活性をおさえる、抗真菌薬(塗り薬)や抗真菌剤入りシャンプーが用いられます。抗真菌薬を使用すると一旦、マラセチア菌の増殖が収まりますが使用をやめるとまた再発します。頭皮や肌の機能が正常に整うまで、根気よく続けることが肝心です。
    脂漏性皮膚炎を発症してしまうと根治に時間がかかりやっかいです。発症しないためには、仕事やファッションで使用する帽子やヘルメットはこまめに洗浄し清潔にする。洗顔やシャンプーを適切に行う。脂っこい食事を控えめにする、睡眠をしっかりとるなど生活習慣や生活の質を整えることを心がけましょう。

    また、ヘアサロンメニューのヘッドスパは、日頃のシャンプーでは取れない頭皮の皮脂を取り除き、頭皮環境を正常に整える効果があります。定期的にヘッドスパを行うことも脂漏性皮膚炎の予防につながります。

    自己判断、自己治療は症状を悪化させます。おかしいと感じたら、頭皮・肌・毛髪のプロである理容師にお尋ねください。また、日頃のシャンプーや洗顔の仕方や、正しい抗真菌薬の使い方をアドバイスさせて頂きますので気軽に相談してくださいね。

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